【連載/サクラクオリティ】顧客ニーズの調査結果から見る「宿泊施設がとるべき対策」とは

【連載/サクラクオリティ】顧客ニーズの調査結果から見る「宿泊施設がとるべき対策」とは

新型コロナウイルス感染症が終息したとしても、この見えない敵に対する恐怖心は局地的なものではなく全世界規模で人々の心に刻まれたはずであり、新たなウイルスが発現する恐怖やウイルスが変化し長期にわたって存続する可能性等を考えますと、その脅威は人々の価値観にも強い影響を与えるものと考えられます。

その結果、もう既に2020年3月までのホテルマーケットと2020年3月以降のホテルマーケットとは別のマーケットに変化している、つまり具体的には、顧客が求める宿泊施設の「品質」について「これまで求められた品質」とパンデミック宣言後「今後求められる品質」との間に大きな変化が生じている可能性があるのです。

●客室の衛生的対策のニーズについて

そこで、客室清掃に関する全国200名に対する前回調査からさらに全国1,000名に対する調査を実施した他、前回の客室清掃に関する調査では「除菌消毒をしてほしいか?」との問いに対する調査結果からさらにプラスして「除菌消毒していないと泊まらないか」とより深く購買行動に直結するであろう顧客ニーズ調査を行いました(全国男女1,000名に対するインターネットアンケート調査、2020年4月、弊社調査)。

本アンケート調査は、1~5スタークラス別に宿泊施設を想定し、客室清掃内容に関して消毒除菌をどこまで求めるのかについて、回答用選択肢を

①徹底した除菌消毒
②ある程度触るところは除菌消毒(ある程度さわるところとは、例えば冷蔵庫の取っ手、ドアノブ、電話受話器、テレビリモコン等が挙げられます。)
③できる範囲で除菌消毒
④特に関係ない

の4択とし、客室の清掃内容と選択される宿泊施設の関係を調べたものです。

調査の結果、5スタークラスであれば、①と②がなされていないと宿泊しないと回答した人の割合が77.1%(してほしいは85.3%)、③まで加えますと、90.2%という結果でした。

4スタークラスであれば、①と②がなされていないと宿泊しないと回答した人の割合が76.6%(してほしいは82.7%)、③まで加えますと、91.2%という結果でした。

3スタークラスであれば、①と②がなされていないと宿泊しないと回答した人の割合が71.5%(してほしいは78.2%)、③まで加えますと、90.9%という結果でした。

2スタークラスであれば、①と②がなされていないと宿泊しないと回答した人の割合が64.2%(してほしいは69.7%)、③まで加えますと、90.1%という結果でした。

1スタークラスであれば、①と②がなされていないと宿泊しないと回答した人の割合が58.8%(してほしいは63.3%)、③まで加えますと、87.3%という結果でした。

上記のとおり客室清掃にあたって「ある程度触るところまで除菌消毒してほしい」との回答が非常に多く見られます。これは、除菌消毒「してほしい」とういうものではなく、「していないと選択したくない」という安全安心が根幹である宿泊市場に対する新たなメッセージと捉えることができます。

●終息を想定した場合は?

今回の新型コロナウイルス感染症がどれほど危険なのか、例えばインフルエンザでは致死率が約0.1%程度と言われているところ、今回は3~4%、ワクチンや治療薬が明確でないだけでなく、インフルエンザウイルスと異なり、大人が感染源となっています。

ウイルスを保持している日数が約20日と長期に及ぶほか、無症状の罹患者が知らぬ間に感染源ともなり、罹患後に回復したとしても2次感染まで懸念される状況です。さらに今後新たなウイルスが発生する可能性すらある中、すでに市場は「ニューノーマル」と言われる時代にこの数カ月で大きく変化しており、仮に今回の新型コロナウイルスがある程度終息したとしても、今後新たな生活様式を持つ顧客が求めているニーズに適切に対応していく必要があると言えます。

一方で宿泊施設側から考えますと、客室消毒を実践するには大変な労力とコストがかかります。宿泊施設は今回のパンデミックにより大きな影響を受けただけではなく、さらに費用と労力がかかる対策をしなければならないという点をどう理解すればよいのでしょうか。

以下では、「新型コロナウイルスが終息したことを仮に想定」してもらい、旅館における客室消毒をどのように求め、また考えているのかを調査した結果をご紹介します(全国男女200名に対するインターネットアンケート調査、2020年6月弊社調べ)。

客室消毒を徹底している旅館とそうではない旅館を比較した場合、①消毒している旅館に対して「強く安心する」が25%、「安心する」が37%、「やや安心する」が25.5%と安心感を連想する回答が合計87.5%という結果でした。

また②消毒している旅館を「是非使用したい」が25%、「使用したい」が38.5%、「やや使用したい」が22%と合計で85.5%が終息したと想定しても、宿泊施設の選択上客室消毒を重視しているようでした。

さらに消毒している場合、③「他者に是非同施設を紹介したい」が22.5%、「紹介したい」が27.5%、「やや紹介したい」が20%と合計70%が客室消毒を実施している施設を他者へ紹介したいと答えており、顧客の態度形成にまで影響を与えている様子が窺えました。

次に、新型コロナウイルスが概ね終息したと仮に想定し、旅館を使用する場合に、客室消毒を徹底している施設と、消毒はしていないが清潔感がある施設を比較した場合、「絶対に消毒している施設が良い」との回答が33%、「消毒している施設が良い」が32%、「やや消毒している施設が良い」が11.5%と合計76.5%の回答者が消毒していないものの清潔な施設より客室消毒を実施している施設を重視するという結果でした。

今回の調査結果が示すように清潔感よりもそもそもその前に、消毒を含めた防疫対策の有無が「安心感」に大きな影響を与えている様子が窺え、その取り組み如何が、顧客から大きな支持を得られる可能性を示唆しています。

●感染症対策に対する付加価値は?

今回の恐怖心を背景に不特定多数の高頻度接触部位に対する除菌消毒が求められている一方で、であればこそその実践は宿泊施設選択上重要であるだけではなく、付加価値にもつながっている可能性があります。そこで今回、代表的な防疫関連施策を列挙し、①追加で施設料金を支払ってもよいと考える人の割合(%)②同回答者による追加支払い許容額平均値(円/室)を調べてみました(全国男女200名、2020年5月、弊社調べ)。

リゾートホテル等観光宿泊施設

「客室内の換気設備」に対して①27%、②約587円、「客室・バスルーム内の高頻度接触部位に対する除菌消毒」に対して①59%、②約680円、「共用部における換気の徹底及び高頻度接触部位に対する定期的な除菌消毒」に対して①45%、②約650円、「客室内空気清浄機」に対して①39.5%、②約535円、「共用部複数個所における消毒液設置」に対して①34.5%、②約483円という結果でした。

シティホテル

「客室内の換気設備」に対して①28%、②約532円、「客室・バスルーム内の高頻度接触部位に対する除菌消毒」に対して①60%、②約602円、「共用部における換気の徹底及び高頻度接触部位に対する定期的な除菌消毒」に対して①46.5%、②約587円、「客室内空気清浄機」に対して①39.5%、②約463円、「共用部複数個所における消毒液設置」に対して①33.5%、②約473円という結果でした。

ビジネスホテル

「客室内の換気設備」に対して①27%、②約498円、「客室・バスルーム内の高頻度接触部位に対する除菌消毒」に対して①62.5%、②約595円、「共用部における換気の徹底及び高頻度接触部位に対する定期的な除菌消毒」に対して①48.5%、②約539円、「客室内空気清浄機」に対して①39%、②約460円、「共用部複数個所における消毒液設置」に対して①32%、②約489円という結果でした。

 

心理的な付加価値額を比較しますとリゾートホテル等の観光宿泊施設>シティホテル>ビジネスホテルという結果でした。市場回復時に備えて、さらにサステナブルな取り組みとする必要もあり、顧客が宿泊施設選択上重視するということの他、関係する人件費増やリスクも勘案した上で費用対効果を慎重に検証しておく必要があります。

【著者情報】
北村 剛史
・㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
・㈱日本ホテルアプレイザル 代表取締役
・一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
・不動産鑑定士、MAI(米国不動産鑑定士)、FRICS(英国不動産鑑定士)、
・CRE(米国不動産カウンセラー)

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