インドの格安ホテル「OYO」が2018年度内に日本進出、ITを駆使した運営で急成長

インドの格安ホテル「OYO」が2018年度内に日本進出、ITを駆使した運営で急成長

インド発の新興格安ホテル運営会社OYO(オヨ)ホテルズが、2018年度内に日本に進出することがわかった。

同社の創業者で最高経営責任者のリテシュ・アガルワル氏がNikkei Asian Reviewの取材に応じ、「年度内に日本で最初のホテルを開く。その後、ラグビーワールドカップ、東京五輪に向けてホテルを展開し、日本のホテル不足解消に少しでも貢献したい」と述べた。同社は既存ホテルのフランチャイズ化で部屋数を急拡大しているが、日本でも中小規模のビジネスホテルをOYOブランドに切り替え展開するとみられる。宿泊費は一泊あたり5,000~1万円の低価格と予想され、インドでの価格は日本円で1,500~4,000円程度だ。

OYOは当時19歳だったアガルワル氏が、個人経営で品質がまちまちだったインドの低価格ホテルのチェーン化に事業機会を見出し起業した。2013年の創業から2年で客室数でインド最大手になり、2017年11月に中国へ進出し10カ月でトップ10に入った。

既存ホテルやビルのオーナーと契約し、基準に合った設備・清潔度に改装、価格設定を含めたオンライン予約サービス・各種経営用アプリ・マネージャー派遣・研修などのサービスを提供する見返りに、フランチャイズ料や収益分配を受け取るモデルで成長してきた。設備投資はオーナー側の負担のため、同社は各ホテルへの設備投資抜きで大量出品が可能という仕組みだ。

同社の高速成長のカギは、ITを駆使した運営だ。約8,500人の社員のうち、700人超がデータ科学・人工知能(AI)・ソフトウエアなどのIT技術者だという。進出した地域の宿泊需要データをAIで常時分析し、すべての空室の料金を個別に常時変化させている。また、地域内での需要のミスマッチを最小化すると同時に、その地域内のホテル全体の稼働率を最大化する。さらに、経理・予約・清掃管理などホテル運営に必要な機能をスマートフォンのアプリにしたことで、オーナーはスマホ1台で経営が可能だという。

客室の設備や清潔度はブランドごとの基準を徹底する一方で、従業員全員に研修を義務付けた。一定の品質で割安に宿泊できるためリピーター客が多い。加えて、安定した高稼働率と低コストで高収益を確保でき、物件のオーナーが2軒目・3軒目と早期に追加投資するケースが多いという。

9月末時点のOYOの運営客室数は、インドが13万3,000室、中国が12万9,000室、ネパールやマレーシアなどを加えた全世界が27万室だった。チェーン化されていないホテルが3,500万室分あるという中国での成長はまだ加速中だが、進出したばかりにもかかわらず月間4万室ペースで成長している。月間1万室増ペースの母国インドを10月末には抜く見込みだ。

ホテル世界最大手のマリオット・インターナショナル(本社:アメリカ)の6月末の客室数は128万強で、OYOは100万室の差がある。しかし、四半期の増加率が14万のOYOと、同時期2万室強のマリオットの成長ペースがこのまま続くと、2020年末までにOYOが逆転する可能性もある。

9月にはイギリスで、10月にはアラブ首長国連邦(UAE)とインドネシアで本格的な展開を開始した。アガルワル氏は、「大陸欧州も視野に入っている」として、9月にソフトバンク・ビジョン・ファンド(本社:イギリス)や、ベンチャーキャピタル大手のセコイア・キャピタル(本社:アメリカ)などから10億ドルの資金を新たに調達した。9月の資金調達時の企業価値は、推定50億ドルとされている。上場会社で「タージ」など有力ホテルチェーンを持つインド最大手のインディアン・ホテルズの時価総額20億ドル前後の2倍を超え、すでに“インドのホテル会社”という枠を飛び出た。

OYOの筆頭株主のファンドを抱えるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、AIを駆使した同社の手法について「全く新しいホテル業のかたちが誕生した」と表現した。ホテル以外の宿泊形態を広めるAirbnb(本社:アメリカ)などの“民泊”により、ホテル業界はすでにネットの洗礼を受けているが、OYOはホテルそのものの経営の在り方でデジタル革命を起こそうとしている。

【参照記事】
インド発格安ホテル「OYO」、日本進出へ

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