新型コロナの影響で訪日観光メディアへのアクセス・観光地に関する検索キーワードが減少、MATCHA調べ

訪日観光メディア『MATCHA』を運営する株式会社MATCHAは2020年3月6日、新型コロナウイルス感染症によるインバウンドへの影響をメディアアクセス数から分析・調査した結果を発表した。

『MATCHA』は日本全国の観光情報のほか、日本文化や旅行前に知っておきたい便利情報などを発信することで、日本観光を総合的にサポートしている。2020年2月現在、10言語にて展開し月間PV600万以上のアクセスを誇る。多国籍な社内編集チーム・ライター、外部ライターによる豊富な知見や、綿密な取材に基づき良質な記事を多く提供している。

この度同社は、新型コロナウイルス感染症によるインバウンド市場への影響は一体どんなタイミングで始まったのか、日本への旅行を計画していた海外の人たちは今日本に関するどんな情報を求めているのかについて、『MATCHA』のサイト分析を行った。分析対象国は台湾・香港・アメリカ・シンガポール・タイ。1月〜2月の各国からの「サイトアクセス状況」及び「検索流入キーワード」を調査した。

各国からのサイトアクセス状況

台湾からのアクセス状況は、台湾の衛生当局が日本への渡航警戒レベルを上げたタイミングで顕著に下がっているのが確認できる。特に変化の激しい2月14日前後1週間の流入を比較すると、約40%減少している。

香港からのアクセス状況は、日本への渡航制限勧告以前に、中国本土でのコロナウイルスの流行および1月23日の中国武漢の交通機関閉鎖のタイミングから徐々に下がり続けていた。例年であれば、香港からの同メディアへのアクセスは桜シーズン前の2月後半から徐々に上がり始める傾向があるが、逆に下がっていることが確認できる。

アメリカからのアクセス状況は、アメリカ国務省の日本に対する渡航情報発表のタイミングよりも、アメリカCDC=疾病予防管理センターが2月25日に「感染拡大に備えるように」との声明を出し、現地でトイレットペーパーの買い占めが始まった頃からアクセスが落ちていることが見て取れる。地理的にアジアから離れている事もあり、他の国よりはやや反応が遅く、実際に現地メディアによる報道が高まってから初めて実感・変化が起こったように推測できる。

同メディア英語版へのアクセスが多いシンガポールでは、香港と同様に、例年では桜シーズン前で2月後半からアクセスの伸びが確認できる。しかし、1月23日にコロナウイルス感染者がシンガポール国内で発見された事もあり、その時点からアクセスが低いまま停滞している。

タイからのアクセス状況は、台湾と同様、国の渡航自粛情報と同じタイミングでアクセスが落ちていることが確認できる。発表があった2月18日前後1週間の流入を比較すると、約37%減少している。

検索流入キーワード

台湾・香港版のページでは、1月と2月の検索流入キーワードを比較すると「清水寺」「河口湖」「鹿兒島」など、観光地に関するキーワードの表示回数が大幅に減少している。一方「日本のマスク」を意味する「日本口罩」や、「日本武漢肺炎」など関連キーワードが急増している。興味深いものでは「pitta mask」など具体的な商品名での表示も増えていた。

英語圏では「asakusa」「hakone」「akihabara」など観光地のキーワード表示回数が減っているものの、表示回数が増えたキーワードの中でコロナウイルス関連のキーワードが急増した様子はない。タイについては、台湾・香港版と同じように「osaka」「fukuoka」「tokyo」などの観光地キーワードが減り、マスクに関するキーワードが急増していた。

以上から、訪日旅行へのモチベーションの低下が、そのままキーワードの表示回数にも現れている事がわかる。また一方で、新型肺炎に関する日本の現状や、日本のマスクなど具体的な商品についての情報を求めている様子がわかった。

インバウンド対策はどうすべきか?

アクセス数の低下および訪日外国人の数が減少傾向にある中、インバウンド対策を行うべきか迷っている事業者も多いだろう。同社は「現状を鑑みると、すぐに日本に来てもらう事を宣伝するのは効果的ではないと考えられます。しかし、「こんな素敵な観光地がある」と知ってもらう事や、今興味・関心のある日本製品について知ってもらう事は、意味あるのではないかとメディアとして考えています」と述べている。

実際に、同メディアがFacebookに投稿している日本の桜記事や東京のカフェを紹介する記事には、例年よりやや少ないものの、今までと変わらず各国からの「いいね!」やシェアが行われている。このことから、今後日本に旅行に行くことを楽しみにしていたり、引き続き関心は持続している様子がうかがえる。一時的に日本へ旅行したいモチベーションが下がっている状況下でも、状況が落ち着くに従って、日本旅行を再検討することが考えられるという。加えて、「今のうちに日本の観光地を知ってもらうコンテンツを制作し、認知度を広める活動を引き続き行っていくことは、決して無駄にはならない」と述べている。

 

2019年の訪日外国人客数は過去最多の3,188万2,000人となった。なかでも東アジアからの訪日客は全体の70.1%を占め、中国・韓国・台湾・香港の順に多い。次いで欧米豪(13%)、東南アジアとインド(12.6%)からの訪日客が多い。訪日外国人旅行消費額も過去最高の4兆8,113億円で、旅行消費額が多いのは全体の36.8%を占める中国、次いで台湾・韓国・香港・アメリカの順である。費目別で見ると宿泊料金は中国が最も多く、3,627億円と他国の倍以上だ。

政府は現在、中国や韓国など複数の地域からの旅行者について入国制限をしているほか、ビザの停止などの措置も行っている。旅行業・宿泊業への影響は避けられない状況だが、MATCHAの調査の通り、日本への関心は持続している様子がうかがえることから、観光情報や宿泊プランなど魅力的なコンテンツの制作・発信は続けていくべきと言えるだろう。

■「MATCHA」公式サイトはこちら

【参照記事】
“新型コロナ”のインバウンドへの影響は?訪日観光メディア「MATCHA」アクセス数から見る訪日観光客の傾向を発表
【参照サイト】
・JNTO|訪日外客数(2019年12月および年間推計値)
・観光庁|【訪日外国人消費動向調査】2019年暦年 全国調査結果(速報)の概要
・Trip.com|Trip.comグループ、新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限のある国と地域に関する情報提供

(HOTELIER 編集部)


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