Expedia Group、ラグビーワールドカップ開催地の上半期国内宿泊動向発表 欧米豪が需要押上げ

Expedia Groupは2019年9月3日、「ラグビーワールドカップ2019™日本大会(以下:ラグビーワールドカップ)」の開催地12都市における上半期国内宿泊動向の調査結果を発表した。調査対象期間は2019年1月1日~6月30日。Expedia Groupのデータに基づき、この期間のホテル需要を前年同期と比較した。

2019年9月20日~11月2日に開催されるラグビーワールドカップは、全国12会場(東京都・札幌市・釜石市・熊谷市・横浜市・袋井市・豊田市・東大阪市・神戸市・福岡市・熊本市・大分市)で48試合が実施され、最大180万人の来場者数が見込まれている。

三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、熱気の高まりに期待を寄せ、次のように予想している。「観戦チケット販売が世界的に好調だったことを受けて、ラグビーワールドカップへの海外からの予想来場者数は40万人から60万人に上方修正されました。とりわけヨーロッパからの観戦者が多いことが予想されています。大会に寄せる世界の関心は日々高まっています。多くの来訪者が開催都市の周辺地域を観光する可能性も十分考えられるため、周辺エリアへの経済効果も期待できます。」

こうした予想を受け、Expedia Groupの上半期におけるラグビーワールドカップ開催地12都市の宿泊動向を調査したところ、海外からの宿泊需要は前年同期比30%増と好調に推移していることが分かった。居住国別に見ると、韓国・香港・中国といったアジア圏からの旅行者が多くを占めている。国内需要についても前年比40%増と好調に推移しており、中でも福岡と大阪は前年比50%増と大幅に拡大した。

一方で、需要を大きく押し上げたのは、ラグビー人気も高い強豪国のオーストラリア・フランス・イギリス・アイルランドなどのロングホール(長距離国際線利用)旅行者だ。アジア圏旅行者と比較すると、ロングホール旅行者の予約時期は1.5倍早く宿泊費は5~10%増、宿泊日数も1日増という結果となった。中でもアメリカ・アイルランド・イタリアからの旅行者は支出額が最も多く、1日あたりの平均宿泊費は、アジア圏旅行者を10~20%上回っている。

また、Expedia Groupのサイト上でラグビーワールドカップの開催期間にあたる開催地宿泊検索ボリュームを調査したところ、前年比30%増と伸長し、早期から開催地の宿泊需要が高まっていることが分かった。なお、宿泊検索数の上位はアメリカ・イギリス・オーストラリアが占めている。

開催地では東京・大阪・横浜の人気が高く、この3都市を訪れる外国人居住国はアメリカ・オーストラリア・カナダが急増し、全体の3割を占めた。また神戸・熊本も外国人旅行者が前年比10~30%増と好調に推移している。宿泊単価は大分県が最も高く、他都市の2倍にあたる1泊あたり29,000円となった。

予約のタイミングや宿泊金額には顕著な違いが表れた。開催地の宿泊状況において、日本人旅行者と外国人旅行者を比較調査したところ、予約から宿泊までのリードタイムは日本人の20日前予約に対し、外国人旅行者は40日前に予約している。また、平均宿泊日数は日本人が1.5泊に対し外国人が3泊、宿泊金額は日本人が平均1万円(1泊)に対し外国人は1.5万円となった。

エクスペディアホールディングス株式会社の代表取締役、ロッジング パートナー サービス日本・ミクロネシア地区統括本部長であるマイケル ダイクス氏は次のように述べている。

「9月より日本で開催される国際的スポーツ大会は日本の宿泊施設にとって、拡大する需要に応え収益を押し上げる絶好のチャンスになると見ています。メジャーなイベントは開催地の来訪者数、ホテル宿泊料に多大な影響を及ぼします。旅行業界に押し寄せるこうした波に適切に対処することは、ホテル経営者にとって決して容易ではありません。我々はパートナー施設の皆様と密接に関わり、施設のビジネスニーズに応じた在庫プランを戦略的に考え、イベントの前と開催中の収益を最大化していただけるよう力を合わせて参ります。」

Expedia Groupは、ラグビーワールドカップ開催中の宿泊施設に対する需要を最大化するためのアイディアの一例として、「マーケットが破綻するほど高い料金設定をしない」「国内からの旅行者も忘れずに」「最低宿泊数とキャンセルポリシーの見直し」の3つを挙げた。

大会開催に向けて宿泊施設の需要増が見込まれているが、開催前・開催中・開催後それぞれの料金を異なる旅行者層を考慮して詳細かつ戦略的に設定するようにと述べ、高額な料金設定をすれば見込み客が離れてしまう可能性もあるとしている。また、国内からの旅行者は平均20日前に宿泊施設を予約することから、在庫のパフォーマンスを常に把握し、キャンセルがあった場合、施設は旅先から予約する可能性が高い地元の旅行者に向けて販売促進を行うようにと述べている。

加えて宿泊のピーク期は宿泊施設の需要予測が難しいため、最低宿泊数を設定し、なるべく長い日数の予約を確保するよう促している。ロングホール旅行者の予約のタイミングは他の旅行者より早い傾向があり、キャンセルポリシーを厳しくすることにより、早い時期から確実に旅行者を確保することができるとしている。

「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」の公式サイトでは、開催地12都市での観光を促すべく、外国人観光客向けに会場へのアクセスや各都市の魅力をまとめたページを公開するなどしている。また、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会が2018年3月に発表したレポートによると、ラグビーワールドカップの日本国内への経済効果は4,372億円(29.7億ポンド)と予測している。2015年9月から実施している「大会認知度調査」の、第11回目となる2019年6月13日~6月17日の調査では、認知度は全国平均で過去最高の77.4%となった。

ラグビーワールドカップの開催はおよそ2週間後に迫っている。トリップアドバイザーの調査では、アジア圏と欧米豪の訪日観光客ではニーズに違いがあることが分かっている。今回のExpedia Groupの調査では欧米豪からの観光客が増えることが予想されており、会場周辺や開催地の宿泊施設は、試合の日程や国も考慮しニーズに応えていくことが必要だ。

【参照記事】
Expedia Group、2019年9月より日本で始まる国際的スポーツ大会に関する開催地の上半期宿泊動向を発表
【参照サイト】
・ラグビーワールドカップ2019™日本大会
・ラグビーワールドカップ2019™日本大会 開催に伴う経済効果の分析について ―経済波及効果は約4,300億円と予測―
・ラグビーワールドカップ2019™日本大会 認知度調査を実施。大会認知度の全国平均は過去最高の77.4%

(HOTELIER 編集部)


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