トリップアドバイザー「インバウンドレポート2019」を発表、アジアと欧米豪でニーズに違い

トリップアドバイザー「インバウンドレポート2019」を発表、アジアと欧米豪でニーズに違い

口コミとランキングで見つかる旅のプラットフォーム『トリップアドバイザー』の日本法人・トリップアドバイザー株式会社が、同サービスのデータや利用者へのアンケートをもとに訪日客の動向を調査した『インバウンドレポート2019』を発表した。

同サービスのサイトやアプリには毎月4億9000万人の訪問者がおり、世界49の国と地域、28言語でサービスが展開されている。全世界の旅行者に利用されている世界最大の旅行プラットフォームとして、訪日旅行を検討している人たちにも多く使われているサービスだ。このたび同社が発表したレポートでは、いくつかの章に分けてさまざまな角度から訪日客の動向や意識、満足している点、アプローチの手段などをまとめている。

近年の訪日客の伸びとともに、同サービスの日本の情報への海外からのアクセス数は増え続けている。アクセス状況の推移を見ると、2013年から2018年の年平均増加率は24%だ。大陸別・国や地域別にアクセス分布を見ると、アジアからが最も多く52%と全体の約半数を占め、続いて北中米21%、ヨーロッパ15%だった。中でもアメリカは単独で17%を占めているといい、世界の中で最も大きいアクセス元である。

また、2017年から2018年にかけて同サービスへのアクセスが増えた国では、1位インド(+29%)、2位イタリア(+23%)、3位ニュージーランド(+21%)となった。近隣アジア以外の国と地域でも、日本に対する関心が高まっている傾向にある。

続いて、同サービスに寄せられた口コミデータを読み解き、訪日客の特徴をまとめたデータを見ていく。訪日客からの口コミについて都道府県別に投稿数を集計したところ、上位10位は東京都・京都府・大阪府・北海道・沖縄県・神奈川県・広島県・福岡県・長野県・千葉県となった。これら上位10都道府県の投稿数で、全体の約8割を占めている。また、宿泊・観光・飲食の3カテゴリについて高評価となった都道府県を調べたところ、宿泊は長野県、観光は広島県、飲食は岐阜県が1位となった。

宿泊施設については、長野県・大分県・山梨県といった、温泉旅館やリゾートホテルなど単価の高い宿泊施設に泊まることの多い県が上位を占めている。一方都市部は、ホステルなど多様な滞在先が選択肢に入ることも多いことから、全体的な評価が下がり、東京都・大阪府・愛知県などは上位10都道府県には入らなかった。

観光施設では、広島県・京都府・奈良県といった西日本が上位を占めている。広島県は原爆ドームと宮島、京都府と奈良県は寺社仏閣に高評価の投稿が集まり、これらの文化遺産や歴史遺産が高く評価されていることが分かる。飲食店で1位になった岐阜県の中でも特に高山市では、宿泊施設や観光施設だけでなく飲食施設もあわせて地域全体で同サービスを活用する動きがあるという。

こうした結果について同社は、「トリップアドバイザーでは、必ずしも訪日客の多い大都市圏や、収容人数の多い宿泊施設や飲食店が強いというわけではない、ということがわかります」と述べている。加えて、小さな地方にある施設でも、自分たちの強みを理解し、投稿された口コミからヒントを得るなどして満足度を上げる改善をすることで、同サービス上で評価され地域の魅力の底上げにつながるとしている。

「外国人に人気の日本の施設ランキング」では、訪日客がどのようなジャンルに興味があり、サービスに満足をしているのかが分かると同時に、トレンド傾向も見えてきた。「ホテル&旅館ランキング」を見ると、ホテルではオールインクルーシブが人気のほか、アパートメントホテルも3軒ランクインし滞在スタイルの多様化がうかがえる。また、旅館はトップ20軒のうち13軒が温泉旅館で、食事も含め日本の文化体験が訪日客に支持されているようだ。

「観光スポットランキング」では、寺社仏閣が半数を占めたほか、隠れ家的なスポットもランクインした。観光スポットランキングは毎年、全体の半分以上が寺社仏閣だといい、中でも「伏見稲荷大社」は6年連続で1位となり圧倒的な人気を誇っている。全体的には多くの観光客が訪れるメジャーなスポットが目立つが、今回初登場した京都府の「愛宕念仏寺」の口コミを見ると「観光客が少なくていい」「隠れた名所」といったように、新たな観光スポットを求めていることが示唆されている。都道府県別では京都府が最も多い7軒、続いて東京都4軒、広島県4軒となった。

「体験・ツアーランキング」では、トップ30のうちツアーが21軒ランクインし、初登場の17施設のうち12施設がシティツアーとなった。カートや自転車、ナイトライフ、食事とさまざまな手段でその土地を知る体験への評価が高いことがうかがえる。都道府県別では東京都10軒、大阪府10軒、京都府8軒と昨年同様に人気の観光地に集中しているものの、昨年とは違い大阪府が大きくその数を伸ばしており、今後各都市においても広がりを見せるかもしれないと述べている。

続いて、9つの異なる国と地域において、同サービスを普段から活用している旅行好きの利用者にアンケートを実施した調査結果を見ていく。結果を元に「訪日旅行経験者の実態把握」「訪日検討者の意識の理解」「観光地としての日本が抱える課題」についての考察をしている。調査結果を読み解く上で見えてきたのは、「訪日客といっても、各国や地域によって様々な違いが見られる」ということだ。“アジアの旅行者”と“欧米豪の旅行者”の違いを比較した結果を見ていく。

日本に来た経験がある旅行者に実際に訪れた目的地を聞いた結果、どの国や地域においても、東京都・大阪府・京都府は上位だった。一方、中国とマレーシアでは北海道、欧米豪とインドでは広島県、オーストラリアとドイツでは長野県も人気だ。また、興味を持っている目的地を国と地域別に見ると、マレーシアと中国では6割以上が北海道に、インド・オーストラリア・イギリスでは4~5割が広島県に訪問意向があることが分かった。この結果から、旅行検討者の興味関心の対象は、実際の旅行時に訪問している地域よりも広いことがうかがえる。

訪日旅行を検討するにあたり「考えている旅のテーマ」を聞いたところ、アジア・欧米豪ともに「歴史探訪」や「都市観光」のニーズが高いことが分かった。アジアは「山岳・マウンテンリゾート」も人気のテーマで、大都市圏以外にも興味関心があることがうかがえる。

「訪日旅行の際にやりたいこと」でも似たような結果となり、欧米豪では「都市での滞在を楽しむこと」が最も人気だ。一方アジアでは「日本の自然や四季を楽しむこと」が最も人気が高かった。中国は特徴的で「日本の歴史文化を学ぶこと」よりも「大衆文化体験」が大きく上回り、他の国・地域よりも顕著な傾向にある。中国からの旅行者は日本について、伝統的なものよりも現代的なものに魅力を感じていることがうかがえる。

こうした結果について同社は、「「訪日客」といっても、その人たちの住む国や地域によって日本での旅行に対する期待は大きく異なることから、どのような旅行客をターゲットとし、その人達のどのようなニーズを満たすことが良いのかを考えると良いでしょう」と述べている。アジアでは都市観光だけでなく、自然探訪、花見や紅葉など興味の対象が広いことがうかがえる。一方、欧米豪の旅行者は日本の歴史や伝統文化に魅力を感じ、アジアに比べるとその目的地や興味は集約されている傾向にある。日本でモノを買うことよりも、いわゆる「コト消費」にニーズがあるようだ。

観光庁が発表したデータを見ても、2017年から2018年にかけて宿泊費や飲食費が増えているにもかかわらず、買い物代は減少していることが分かる。同社は「今後この訪日外国人旅行消費額を上げていくためには、日本での買い物だけではなく、各国と地域のニーズをきちんと理解した上で、どのようなサービスや体験を提供すればよいのかを考える必要があるのではないでしょうか」と述べている。

加えて、同サービスで日本の情報にアクセスする旅行者は、実際の訪問者に対して欧米豪の比率が比較的多いことが分かっている。同サービス上で観光や文化体験などの情報発信をしていくことで、欧米豪のユーザーが持つ「コト消費」に対するニーズを満たすきっかけを与えることは、今後の訪日外国人旅行者消費額を上げていく上でも効果的だとしている。

レポートの最後では、「日本の観光における体験型コンテンツの重要性」について述べている。観光庁が2018年4月に取りまとめた提言書では、「「明日の日本を支える観光ビジョン」において政府が定めた目標の一つ、2020年までに訪日旅行消費額8兆円という高い目標を達成するためには、「モノ」消費から「コト」消費に移行している訪日客の旅行需要を踏まえて、体験型観光についての消費を促していくことが必要」とされている。

トリップアドバイザーは現在、国内外の20万件以上の予約可能な体験型コンテンツを販売している。同サービス上で予約購入された日本の体験型コンテンツについて、2017年と2018年を比較した。その結果、予約増加率が最も伸びたのは「文化&テーマ別ツアー」(+132%)、次いで「プライベートツアー」(+98%)、「観光チケットとパス」(+95%)となった。訪日客にとって日本の文化・食・町散策への興味は高く、今後もこれらを扱うツアー等には高い需要が見込まれそうだ。

レポートの制作を担当した同社のシニアリサーチマネージャー・櫻井泰斗氏は、次のようにコメントした。「この度のレポートでは、トリップアドバイザーのデータやリサーチから見る様々な傾向を訪日客の国や地域別に分析しています。マーケットによって訪日旅行に期待するものは異なるため、ターゲットのニーズを理解した上でアプローチすることが大切と思われます。本レポートが少しでも日本における今後のインバウンド観光産業の発展のためのヒントになれば幸いです。」

『トリップアドバイザー』は全世界における各旅行サービスの中でアクセス数が一番多く、最も参照される旅行の情報源だ。今回同社がまとめたレポートは、今後の日本の観光産業を盛り上げていく上で重要なデータである。中でも“口コミを読み解く”というのは、宿泊施設のみならず観光地にとっても重要なポイントだ。訪日外国人客数で上位なのは中国・韓国・台湾・香港といったアジアの国だが、『トリップアドバイザー』の日本の情報にアクセスしている国ではアメリカやオーストラリアが上位だ。加えて、アジア以外の国からのアクセス数も増えている。訪日客の多い国、日本に興味を持っている国それぞれのニーズをしっかり理解し、満足度を上げるための取り組みは引き続き続けていかなければならない。

【参照記事】
トリップアドバイザー、初のインバウンドレポートを発表
【参照サイト】
トリップアドバイザー|「インバウンドレポート2019」

(HOTELIER 編集部)

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